2012年05月06日

メイキング・オブ・『Before Sunset』(with KORG micro ARRANGER)

今回は、前回聴いていただきました『Befere Sunset』の制作過程を少し紹介させていただきます。「メイキング・オブ」などと言いますとなんだか偉そうですが、途中、2曲ほどボツ曲を経過していますので、今回はそれもアップさせていただきます。


「KORG micro ARRANGER」(以下、mi-ARNGRと略)で検索してこられる方が結構いらっしゃいますので、私の使い方を紹介したいです。


mi-ARNGRのHPはこちら↓


http://www.korg.co.jp/Product/Synthesizer/microARRANGER/

 

1.まず、何か曲を作ろうということで、自分のフィーリングにあったmi-ARNGRのスタイルを探します。最初、「Pop Beat」というスタイルを選びました。


2.次は、BPM(テンポ)とキーを決めた後、だいたいのコード進行を作ります。この作業が結構苦労しますね。基本的な I → VI → IV → Vとか、VI → III → II → V7 みたいな所から考えていきますが、ベースラインに順次下降を作ったり、セカンダリードミナントを使ったり、ドミナントをIV/Vとかにしてみたり、サブドミナント・マイナーみたいな代理コードが使えないかなど、いろいろ仕込みを考えます。M7とか9th、テンションなどもできれば取り入れたいですね。


【2012/05/11 追記・修正】

2.の項で、セカンダリードミナントとか代理コードなどで仕込みをすると書きましたが、ツイッターで藤巻先生から有益なお話がありました。先生によりますと、セカンダリードミナントとか代理和音、ドッペル・ドミナントなどは、実際にはあまり良いコードワークが作れないそうです。それより「7つのダイアトニック・コードを大事に使って、ツーファイブ、裏コード、分数コード、四度堆積和音、二度堆積和音、アッパーストラクチャー、近親調のコードを絡める、これらの可能性を追求した方がよほどオリジナリティが出せる」(藤巻先生のツイートより引用)そうです。


藤巻先生の著書を愛読しているはずの私がよく分かって無くて、ホントにお恥ずかしいです。単語だけでは難しいと思いますが、詳しいことは『コード作曲法』『コード編曲法』を見ていただけるとたいへん勉強になると思います。


 
 

code_sheet.jpg

 

3.コード進行がだいたい出来上がったところで、mi-ARNGRに打ち込んでいきます。mi-ARNGRは、演奏しながらバッキングを作れてしまうというのがウリのようですが、僕はコード進行やイントロ、フィル、エンディングなども含めて、全てステップ入力で作ります。これは僕の性分というか、キッチリできていないと嫌だからです。ここまでできれば、後はmi-ARNGRがやってくれるので、だいたいの曲の感じを聴くことができます。


4.コード進行を若干修正したりした後、今度はいよいよメロディー作りです。バッキングはmi-ARNGRがやってくれるわけですから、せめてメロディーだけでも自分で考えないと、全くの機械任せになってしまいますからね。著作権というのも、コード進行には無くて、メロディーこそが著作権の対象なんですね。


メロディーは、mi-ARNGRでバッキングを何度も再生しながら、一つのトラックに少しずつ録音していきます。これは実際に演奏して記録していきます。部分的に、パンチインで足していきます。


このようなやり方でやっていくと、一応曲らしきものがmi-ARNGRのみでできてしまいます。mi-ARNGRは4万円弱で、なりは小さいですが、音はなかなかいいんですよ!音色のエディットこそできませんが、音源としてかなり十分なものがあります。


さて、この段階で出来上がったものが、次の曲です。mi-ARNGRから2chアウトプットして、オーディオインターフェイスからiMacのLogic Pro9に録音し、MP3にミックスダウンしたものです。仮タイトルとして「Cotton White」(深い意味はありません)としました。

 

これで出来上がりとしてもいいのですが、あまりにも芸がないですよね。コード進行とメロディしか作っていないのですから。


5,次は、mi-ARNGRのデータをSDカードに落として、そのMIDIデータをLogicの方へ持ってきます。この時、メロディの気に入らない所も少し修正しました。


mi-ARNGRのMIDIデータは、Drums、Perc.、Bass、プラスあとはスタイルによってピアノとか、ギターとか、シンセのパッド、ストリングスなど、伴奏トラックとして4〜5トラックあります。


mi-ARNGRの音もなかなかいいのですが、Logicに持ってきた時点で、よりよい音源があれば差し替えます


今回の場合、メロディをサックスに変えてみました。Native Instruments社のKontakt5、サンプリング音源でなかなかいい音です。他に、詳しいことは忘れましたが、ギターをYAMAHA MOTIF XS7の音源に差し替えたと思います。これもいい音です。


ただ、ドラムの音は、キーマッピングが違うので差し替えるのが面倒なんですよね。それに、mi-ARNGRのドラムの音はかなり満足できるレベルです。mi-ARNGRのドラムにプラスして、Komplete 8のドラムも少し足しました。


音源を差し替えただけではなく、全体の構成もいくぶん修正しました。


各トラックのバランスを慎重に調整して、次のような曲になりました。タイトルも「Brand New Day」と変えてみました。

 

この曲で出来上がりにしようかとも思ったんですが、サックスの音を何度か聴いているうちに、ジャズっぽくしたらどうなるかな?って考えたんです。


6.そこで、最初に作ったmi-ARNGRのデータをスタイルだけ「Swing Ballad」というものに変えて、再びLogicの方へ持ってきました。やっぱりサックスにはジャズが似合いますね。3コーラス繰り返しという構成にして、2回目をサックス・アドリブにすることにしました。ここでしばし行き詰まってしまいました。サックス・アドリブがなかなかうまく作れないのです。キーボードを弾きながらではうまく行かないので、Finaleという楽譜ソフトを使い、キーボードでフレーズを確かめながら五線紙に書いて作曲しました。ジャズアドリブらしくするために、リズムをスイングさせ、メロディの拍を前後にずらしたりします。後はブルーノートを使ったりとか……、でもほんまもんのアドリブにはとうてい及びませんね。(^^ゞ

ad-lib for sax.jpg


後、最後のコーラスにバリトン・サックスを少し足しました。


出来上がりの『Before Sunset』です。

 

たいへん長くなりましたが、ざっとこんな感じです。これからKORG micro ARRANGERを使うという方に、少しでも参考になればうれしいです。mi-ARNGRは、それ単体でもその気になれば、かなり曲を作り込めます。また、データをLogicの方に持ってきて、ドラムトラックなど、MIDIデータを修正した上で、再びmi-ARNGRで音を鳴らすこともできます。


DTM初心者の方にはかなりオススメな製品です。中級者の方でもかなり重宝するのではないでしょうか?


全てのパートを一からオリジナルで作るスキルを身につけることも大切ですが、手早く気軽に作れて楽しめるというのもまたいいのではないかと思います。

 
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ラベル:KORG micro ARRANGER
posted by tenawanboy at 22:20| Comment(2) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。

参考になります。ちょうど、質問しようかなと思ってたことが書かれてました。
ジャンルを意識した曲だと、いつも定番アレンジに行き着くまでに挫折しそうになるので、micro ARRANGERで当たりが付けられたらなぁとか、思ってました。

すいません2つ質問させてください。

1、完成版の「イントロ」も自動なんですか?

2、Logicで入力した、コードのMIDIデータをmicro ARRANGERに持って行ってアレンジさせることも可能ですか?


こういうの、ソフトであっても良さそうな気もするんですが・・・
(既にあるのかもしれませんが)


ところで・・・藤巻先生には怒られそう(?)・・・勉強もするんで許してください〜
Posted by stainway at 2012年05月06日 22:42
stainwayさん、こんばんは。コメント、ありがとうございます!
stainwayさんは、1曲を完成させるまでにいろいろ試行錯誤され、最後には大変な力作に仕上げられていますよね。その過程において、曲のイメージが熟成されていくのだと思います。その完全主義ぶりには脱帽しておりました。
そのstainwayさんがmicro ARRANGERの使用を考えておられるとは、ちょっと意外でした。
先に、質問の方にお答えしますね。
1.完成版のイントロも自動です。mi-ARNGRのイントロには2種類ありまして、一つは曲のキーを打ち込むだけで「らしい」イントロを即作ってくれるもの、もう一つは、コード進行を打ち込んで、それに合わせたイントロを作ってくれるものです。前者はなかなか瀟洒なものを生成してくれますが、後者はシンプルな前奏という感じです。
2.ご質問の意図は、Logicでコード進行のプログラムをしたいということだと思いますが、それは可能です。ただその場合、Logicでコード進行のデータを作り、SDカードを介してmi-ARNGRに持って行けるか?は、ちょっとやったことがないので疑問です。
僕が確認している可能な方法は、Logicで外部MIDIトラックにコード進行のデータを作ります。そして、Logic側からmi-ARNGRをプレイさせ、コードを認識させる方法です。
すみません、僕もまだ完全には使いこなせていないものですから。。。
ただ一つ言えるのは、Logicとmi-ARNGRを連携させるには、mi-ARNGR側の設定が少々ややこしいです。mi-ARNGRのデータをLogicに持ってきて、編集するのは簡単ですが、その逆はちょっと難しいです。MIDIに精通している方なら簡単でしょうが、バンクだとか、コントロール、プログラムなどなど、細かいMIDIデータを作らないといけないので、逆に時間がかかってしまうでしょう。

さて、micro ARRANGERですが、アレンジの当たりを付ける程度なら有用かも知れません。しかし、スタイルの数はたくさんありますが、やはり限界はあって、stainwayさんみたいにオリジナリティーに徹した作品作りには、すぐにネタが尽きるのではないか?という気がしないでもないですね。(^^;

ソフトでは、Band In A Boxというのがあります。しかし、これはジャンル的にロック、ブルース、カントリー、そして特にジャズ系の洋楽的アレンジに限定されていますね。出来上がってくるものがステレオタイプな感じで、オリジナリティーを出したい創作には不向きな気がします。micro ARRANGERの方がずっと重宝します。

【参考】
氏家克典さんがすばらしいデモをやっています。
http://www.youtube.com/watch?v=eRBQqU1Ewhw
また、DTMマガジン2012/3月号に氏家さんの紹介記事もあります。
その記事にあるYAMAHA Tyros4ってのが、欲しいです!(日本未発売)

最後に、藤巻先生には怒られそうですね(笑)
でも、mi-ARNGRを使わない時もありますし、勉強もやりますので。。。(;^_^A アセアセ
Posted by tenawanboy at 2012年05月07日 00:28
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